相続時の不動産売却における負動産とは？相続放棄、処分等の方法を解説！

不動産には需要のあるものとそうでないものがあり、不動産相続で必ず収入を得られるとは限りません。
相続した不動産が負動産だった場合、相続人に金銭的な負担がかかることが懸念されます。
本記事では負動産とは何か、負動産を処分する方法や相続放棄をする方法について解説します。
宮城県仙台市で不動産を相続する予定のある方は、ぜひご参考にしてください。

相続における負動産とは

負動産とは、負債の負と不動産を組み合わせた造語です。
ここからは相続における負動産とは何か、具体的な例を交えてご説明します。

負動産とは

負動産とは、持っているだけで収支がマイナスになる不動産を指します。
不動産を相続した場合は必要な費用を支払わなければなりません。
不動産の所有者にかかる費用は、固定資産税や維持費、保険料などさまざまです。
利用価値や資産価値がない不動産でも、所有している限り費用の支払いは続きます。
もし相続した不動産を活用できないと、出費ばかりが増える負動産になってしまいます。

負動産の具体例とは

負動産とは何かわかっても、具体的な例がないとイメージしづらい方も多いでしょう。
ここからは、負動産の具体例を挙げながらご説明します。
空室が多い賃貸不動産
まず負動産の一例として挙げられるのが、空室の多い賃貸不動産です。
マンションやアパートなどの賃貸不動産は、空室の数に応じて収入が減少します。
そのため「相続したら負動産だった」というケースが少なくありません。
別荘
またリゾート地にある別荘なども、負動産である可能性が高いです。
多くの別荘は都心から離れた郊外に立地しているので、あまり需要がありません。
買い手や借り手を探しても、なかなか見つからないことが多いでしょう。
実家
親が亡くなって実家を相続したものの、うまく活用できず、空き家になるケースが増えています。
収入を生み出さない空き家は、負動産です。
空き家は年々増加していて、深刻な社会問題になっています。

相続した負動産の処分方法

負動産を相続してしまった場合、放置せず早めに処分することが肝心です。
ここからは、相続した負動産を処分する方法を解説します。

処分方法①売却する

一番シンプルな処分方法は、負動産を売却することです。
売却には仲介と買取の2種類の方法があります。
仲介は不動産会社が買主を探す方法で、買取は不動産会社が直接買い取る方法です。
仲介の場合は相場価格で売れる可能性がありますが、成約まで時間がかかる可能性があります。
買取の場合はスピーディーに売却できる一方で、買取価格が安くなりやすいです。
どちらも一長一短あるので、最適な方法を選びましょう。

処分方法②寄附する

売却で買い手が見つからない場合は、自治体に寄附する方法もあります。
自治体に寄附する場合、条件を満たした物件しか引き取ってもらえないケースがほとんどです。
まずは自治体の担当窓口に相談して、相続した不動産を寄附できるか確認してみましょう。
自治体に寄附できない場合は、個人や法人に寄付するのも手です。
ただし、個人に不動産を寄付した場合は、受け取った側に贈与税がかかります。
法人への寄付では、寄付した側に所得税、受け取った側に贈与税がかかるため、注意しなければなりません。

処分方法③空き家バンクに登録する

空き家バンクとは、自治体が運営している空き家のプラットフォームです。
物件の情報を空き家バンクのホームページに登録して、利用希望者にご紹介する仕組みになっています。
仲介で売却するより価格は安くなる可能性がありますが、その分買い手や借り手が見つかりやすくなる可能性があります。
登録するのは無料で、所有者に大きな手間はかかりません。
建物の改修費用を一部補助してもらえる自治体もあるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

負動産を相続放棄する手続き

相続放棄という方法をとれば、相続前に負動産を所有することを回避できます。
ここからは負動産の相続放棄について、手続きの流れを解説します。

相続の選択肢

相続の際には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」という３種類の選択肢があります。
相続人は相続の開始を知った時から3か月以内に、どの選択肢にするか決めなければなりません。
単純承認
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することを単純承認といいます。
マイナスの財産には借金や連帯保証債務も含まれるので、相続人は注意しなければなりません。
単純承認する際は、特別な手続きは不要です。
相続の開始を知った時から3か月間、何もしなければ自動的に単純承認となります。
限定承認
限定承認は、プラスの財産の範囲内でマイナス財産を相続する方法です。
たとえば、プラスの財産のほうがマイナス財産より多い場合は、余ったプラスの財産を承継できます。
反対にマイナスの財産のほうが多い場合は、プラスの財産を使って借金などを弁済する仕組みです。
余ったマイナスの財産は切り捨てられるので、相続人が手出しで借金などを弁済する必要はありません。
限定承認は、相続人全員が家庭裁判所に申立てをする手続きが必要です。
全員の意見がまとまらないと、限定承認を選択できないので注意しましょう。
申立てをした後の手続きも複雑で、完了するまでに1年～2年かかることも少なくありません。
相続財産に不動産が含まれる場合は競売にかけなければならず、手間がかかります。
相続放棄
相続放棄とは、すべての相続財産を承継する権利を放棄することです。
プラスの財産もマイナスの財産も含め、一切の相続権を失います。
相続放棄をする場合、家庭裁判所で手続きをおこなう必要があります。
負動産など、マイナスの財産ばかりの場合は、相続放棄をすれば債務を免れることが可能です。

相続放棄の手続き

相続放棄を選択する場合、相続の開始を知った時から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出しなければなりません。
相続放棄申述書のほかにも、以下の書類が必要です。

• 被相続人の戸籍謄本
• 被相続人の住民票または戸籍の附票
• 相続放棄する方の戸籍謄本

相続放棄申述書と必要書類が家庭裁判所に受理されれば、基本的に相続放棄が認められます。
相続放棄の手続きは限定承認のように、相続人全員と話し合う必要はありません。
相続放棄をした方のみ相続権を失い、それ以外の方の相続権は維持されます。

相続放棄の注意点

相続放棄は財産を相続したくない方にとっては便利な方法ですが、注意点もあります。
相続財産を選べない
先述のとおり、相続放棄をすると、すべての財産の相続権を失います。
資産価値の高い財産や、思い入れのある財産だけ選択できない点に注意しましょう。
管理義務は残る
相続放棄した方は、固定資産税などの支払い義務はなくなります。
しかし負動産の管理義務は相続放棄しても残り続けるため、維持管理の手間や費用が発生します。
管理義務をなくすためには、家庭裁判所に申し立てをおこない、相続財産管理人を選任しなければなりません。
相続財産管理人の申立てをおこなう際も、数十万円以上の費用がかかります。

まとめ

負動産を相続すると、固定資産税などの出費が続くため、放置せず早めに動き出すことが肝心です。
売却などの方法で処分するか、相続前であれば相続放棄を検討しましょう。
仙台市の不動産売却は、弊社へ。
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筆者プロフィール  ||  笠原 紀久夫 

宅地建物取引士 / マンション管理士 / 賃貸不動産経営管理士 /ほか不動産系資格多数　  宮城県仙台市 在住歴 40数年 『宮城・仙台が好き過ぎる宅地建物取引士』として「仙台の不動産そうだん窓口」で多数の案件のご相談・お取引に係わっています。 ※各種メディアにもご協力しております。執筆・取材のご依頼もお気軽に！ ―  写真は仙台市民に最も愛されている山「泉ヶ岳にて」―